“北欧のヴェルサイユ” ドロットニングホルム宮殿に迫る!


 今回は、スウェーデンに15個ある世界遺産のひとつ「ドロットニングホルム宮殿」の歴史と美術を深堀りしていきます!


 「ドロットニングホルム」とは「王妃の小島」という意味。このドロットニングホルム宮殿は、歴代のスウェーデン王妃によって何度も増改築がなされ、現在の美しい姿となりました。現スウェーデン王室も1982年からこの宮殿に住んでいます。


 まずはドロットニングホルム宮殿の歴史からご紹介します!


ドロットニングホルム宮殿のはじまり

 ドロットニングホルム宮殿の前身となったのは、1570年に国王ヨハン3世が王妃カタリーナ・ヤーゲロニカのために建てた夏の別荘でした。1661年にこの別荘は焼失してしまうのですが、当時の王妃ヘドヴィーク・エレオノーラの命によって別荘の再建がはじまります。

                                                                                                                                                                                再建を手がけたのは、建築家ニコデムス・テッシン親子。ストックホルム王宮を建設したことでも知られる建築家親子です。

そしてこの再建の際に参考とされたのが、バロック様式で有名なフランスのヴェルサイユ宮殿でした。


これが、ドロットニングホルム宮殿が ”北欧のヴェルサイユ”とも呼ばれる所以です…!


こちらはヴェルサイユ宮殿の写真ですが、ドロットニングホルム宮殿と見比べてみても、やはり共通した造り(バロック様式)と華やかさが感じられますね...。


ドロットニングホルム宮殿の再建は、約20年かけて完成しました。




”フェルゼン伯爵” ~ 『ベルサイユのばら』より

 余談ですが、ヴェルサイユ宮殿と言えば、漫画『ベルサイユのばら』に登場するフェルゼン伯爵ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン)をご存知でしょうか…?



王妃マリー・アントワネットの恋人として登場する『ベルサイユのばら』の重要キャラクターですが、実はフェルゼン伯爵はスウェーデン人です!そしてこのフェルゼン伯爵、モデルとなった同名の人物がスウェーデンに実在するそうで、後でご紹介するグスタフ3世に仕えていた貴族だったそうです。


諸説ありますが、グスタフ3世の寵臣だったフェルゼン伯爵は、スウェーデンの国益のためにフランスに送り込まれ、マリーアントワネットに近づいた、とか…?




中国離宮とシノワズリ

 ドロットニングホルム宮殿の歴史に話を戻しますと...

18世紀後半、スウェーデン王室にはプロイセン王国からロヴィーサ・ウルリカが嫁いできます。彼女はドロットニングホルム宮殿のさらなる改築を進めました。


 ところで、この時期にドロットニングホルム宮殿に増築された建物のひとつに「中国離宮」があります。



アドルフ・フレデリック王が、王妃ロヴィーサ・ウルリカの誕生祝いにプレゼントした建物だそうです。(誕生日プレゼントが離宮だなんて、やはり王室はスケールが違いますね…!) 周囲のバロック・ロココ様式の建物・庭園とは趣が全く異なり、とってもエキゾチックです。


この頃、少しずつアジアの国々と接触しはじめていたヨーロッパは、未知の国「中国」に魅せされ、中国趣味(いわゆる”シノワズリ”)の陶磁器や工芸品、インテリアを生活の中に取り入れていったそうです。ドロットニングホルム宮殿の中国離宮にも、中国の陶器や人形が展示されているそうですよ!


 その後、王位は王妃ロヴィーサ・ウルリカの息子であるグスタフ3世(フェルゼン伯爵が仕えていた王)に引き継がれます。ちなみにグスタフ3世自身も、王位に就くまでしばらくの間、ベルサイユに滞在していたそうです。グスタフ3世は、ドロットニングホルム宮殿の内装にロココ様式を取り入れました。


グスタフ3世の死後、王室は一旦この宮殿を去りましたが、1982年から再びここに住んでいるそうです。


グスタフ3世と”グスタヴィアンスタイル”

 グスタフ3世の治世は、約20年と短いものでしたが、その間にはフランスをはじめとする西洋諸国の様式にとらわれない、スウェーデン独自の文化が花開いていきました。

その代表が、ドロットニングホルム宮殿に見ることができる ”グスタヴィアンスタイル”です。



 グスタヴィアンスタイルとは、グスタフ3世が好んだロココ様式に古典様式を融合させたものです。

グスタフ3世はベルサイユ滞在中、当時のフランスで人気だったロココ様式やネオクラシックな様式に大きな影響を受け、帰国後にそれらを北欧スタイルへとアレンジしました。これがグスタヴィアンスタイルの原点となっています!


当初は王室や貴族の間で人気なスタイルだったため、金色の豪華絢爛なデザインが多かったそうですが、一般庶民に普及していくにつれ、白やグレー、クリーム色、ペールブルーなど淡い色が基調のデザインへと変化していきました。シンプルながらも上品さが漂うデザインは、「まさに北欧!」といった印象ですね...!


 ちなみに、このグスタヴィアンスタイルは、スウェーデンのもうひとつの世界遺産「ヘルシングランドの装飾された農夫の家」でも見ることができます。



今人気の北欧デザイン・北欧インテリアがつまっているような、とっても素敵な家ですね!個人的には、スウェーデンを訪れたら、ドロットニングホルム宮殿と並んでおとずれたい場所の一つです!






最後に

 ドロットニングホルム宮殿は、現王室の居城にもかかわらず、宮殿の敷地内を自由に歩けるそうです。なんと宮殿内部の見学もできるそうですよ…!

スウェーデンを訪れた際にはぜひ立ち寄ってみてください。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。





<参考>

世界遺産検定事務局「すべてがわかる 世界遺産大辞典<下> 世界遺産検定1級公式テキスト」, 株式会社マイナビ出版, 2016年8月


地球の歩き方編集室「地球の歩き方 A29 北欧2021~2022年版」, 株式会社ダイヤモンドビッグ社, 2020年8月


https://hikaru-mikasa.com/2019/08/24/drottningholm-palace/ (2021年9月12日アクセス)

https://rekishi-style.com/archives/6412 (2021年9月12日アクセス)

https://worldheritagesite.xyz/drottningholm/ (2021年9月12日アクセス)

https://www.houzz.jp/ideabooks/68578796/list (2021年9月12日アクセス)

https://suvaco.jp/doc/gustavian-160614 (2021年9月12日アクセス)



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