検索
  • Ryoka Soga

スウェーデン王室のカメオ・パリュールとその歴史


 ストックホルムで行われるノーベル賞の式典には、スウェーデンのロイヤルファミリーが出席します。その華やかなファッションは毎年注目の的となっています。


 右の写真はスウェーデン国王カール16世グスタフの長女であるヴィクトリア王太子、2016年のノーベル賞授賞式及び晩餐会での装いです。淡い色合いが良くお似合いですね。

 注目すべきは、ネックレス、ブローチ、イアリング、ブレスレットといったカメオのジュエリーです。2010年の結婚式では、ティアラも使用されています(写真下)。


 これらは彼女の母、シルヴィア王妃も結婚式やノーベル賞の式典で用いたもので、スウェーデン王室に代々受け継がれてきました。このような揃ったジュエリー一式をパリュールと呼びます。今回は、このカメオ・パリュールについて掘り下げていきます。

カメオ・パリュールの歴史はナポレオンによる第一帝政期のフランスに遡ります。皇帝となったナポレオンは、妻ジョセフィーヌを皇后たらしめるため大量のジュエリーを作らせました。その中にこのカメオ・パリュールも存在していたと目されています。1809年に贈られたカメオ・パリュールはジョセフィーヌの子供に引き継がれ、彼女の孫がスウェーデン王家(当時はノルウェーと同君連合)に嫁いだことで王家のコレクションに加わりました。


特にティアラはゴールドのフレームにパールとカメオがあしらわれた特徴的な一品です。ティアラといえばダイヤモンドでキラキラ輝くイメージのある方も多いと思いますが、こちらはパールのみが使用されていることによってより上品で落ち着いた印象を与えます。



それぞれのカメオには何が描かれているのでしょうか。


 ティアラの正面に配置されているカメオです。ここには愛と美の女神であるヴィーナスと、その息子で同じく愛情や愛欲の神であるキューピッドが描かれています。小さな翼をもつキューピッドの姿はよく知られていますね。





 

 ティアラについているカメオです。

こちらは耳の上に挿している麦に特徴付けられる、ローマ神話における収穫の女神のケレースです。



 ブレスレットのカメオです。頭についている羽から、商業の神であるマーキュリーとされています。他のカメオにもギリシアやローマの神々の肖像が描かれています。ナポレオンは、北イタリア侵略の際のアルプス越えをハンニバルやカール大帝になぞらえたように、自身を古代の支配者に関連付ける象徴を好みました。




 このように、初めは政治的意図をもって作られたカメオ・パリュールですが、愛を司る神々が描かれていることによって次第に結婚式に用いられるようになりました。長きにわたってスウェーデン・ベルナドッテ朝の女性たちを着飾ってきたカメオ・パリュールの歩んだ数奇な歴史は、今も人々を惹きつけてやみません。





参考

https://sweden.se/life/people/the-swedish-monarchy

https://www.thecourtjeweller.com/2015/06/tiara-timeline-cameo-tiara.html

https://www.thecourtjeweller.com/2021/02/the-stories-of-swedens-romantic-cameo.html

https://www.thecourtjeweller.com/2021/06/crown-princess-victorias-heirloom-royal-wedding-pearls.html


58回の閲覧0件のコメント

最新記事

すべて表示