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  • Izumi Hirose

スウェーデンの野外就学前保育に密着

最終更新: 2月8日

今回はスウェーデンの野外就学前学校で保育士をされており、現地での保育についてイ ンスタグラムで紹介している@sweden_childcare さんにインタビューしました。@ sweden_childcare さんのインスタグラムでは森の中での自然と触れ合う保育や「子どもの 権利」を子供に教えるような活動をされている様子が投稿されています。

そのような投稿を見る中で気になった点についていくつか質問させていただきました!


なお、今回紹介する野外就学前保育は一例でありかなり特殊な形で、すべてのスウェーデン の保育に当てはまるものではないそう。


【@swden_childcareさんのプロフィール】

巽朝菜(Asana Tatsumi)保育士 

日本では新生児、乳幼児期のこどもたちの家族支援に携わり、現在はスウェーデンの野外就学前学校に勤務。



1.スウェーデンの保育と日本の保育の大きな違い

「日本では、幼稚園、保育所、こども園などから、幼児教育や保育の目的、そして親の就労から園を選ぶことができます。また0歳児保育、病児・病後児保育、延長保育、夜間・休日保育など、親のニーズに合わせて保育を利用することができます。

スウェーデンのこどもたちが通う幼児教育・保育施設は就学前学校 (Förskola)といいます。0歳の乳児は家庭ですごすため、0歳児保育はありません。1歳から5歳のこどもたちが就学前学校に在籍し、2歳の90%、5歳の95%が就学前学校に通っています。ストックホルムの就学前学校は、基本的に朝6.30から18.30の間にこどもを預けることができます。(自園では、朝8時から16時の利用が多い)それ以外の親のニーズには、周辺の就学前学校が協同し対応、延長・夜間・休日に開園しているところもあります。

スウェーデンでは、こどもが病気になれば親が看病できる制度があり(給料80%保障、1年120日取得可)開園時間外の保育のニーズも日本と比べて圧倒的に少ないといえます。

-なぜ、スウェーデンではさまざまな保育のニーズが少ないのでしょうか。

スウェーデンでは、保育は親のニーズだけでなく、こども自身の権利として、保障しています*。そして、国の制度によって、こどもと家族が一緒に過ごせる時間を保障しているのです。(親の育児休業制度、病児看護制度、労働短縮制度)幼児期のこどもたちが安心して家庭や就学前学校で過ごせる背景があるのは、国の政策が手厚いからといえます。」

*スウェーデン 女性の就業率76.6% 男性80.1%(2019) 【参考文献】「スウェーデン保育の今」白石淑江・水野恵子 かもがわ出版


日本では母親によるワンオペ育児になりやすい傾向にありますが、スウェーデンでは国の育児制度が整ってる上、男性も積極的に育児に参加したり、会社も育休取得に寛容であるなど社会全体で子どもの権利を保護し、子どもを育てていこうとする価値観があるようです。

2.自然にふれる保育がこどもにあたえる影響について

「私の担当は研究者組で3・4歳のこどもたちがいます。森へいくといろいろな発見があります。冬は、雪の上に小さな足跡がたくさんあり、足跡のまわりにころがる木の実をみて、誰が食べたのかとこどもたちと話しています。そんな時に、ひょっこりリスが顔をだして、リスをみんなで静かに眺めた日もありました。

 こどもたちは森には動物たちが暮らしていることを知っていて、大声で叫んだり、生き物を傷つけてはいけないことを体験から学んでいきます(自然享受権)自然体験を積み重ねたこどもが大人になると自然を保護しようとする傾向が高くなると研究者たちはいっています。」

【参考文献】「スウェーデンにおける野外保育のすべて」エーバ・エングコード 高見幸子・光橋翠訳





「自然享受権」というのは聞き慣れない権利ですが北欧特有の権利のようです。私自身は子供の頃は幼稚園の狭い敷地内だけで遊ぶことが多くこのような自然体験をできる機会は中々なかったのでインスタグラムの投稿での葉っぱや木を使った遊びなどは新鮮で面白いなと思いました。



3.こどもの権利をどのように教えているか

 「スウェーデンではこどもの権利の実践の教材、指導書、アイデアをホームページで見つけることができます。豊富な教材を参考にしながら活動計画を立てています。  一方で、保育のなかの身近なできごとから、こどもの権利を伝えることも大切にしています。例えば、こども同士で、叩いたり、叩かれたりしたときに、あなたは暴力から守られる権利があるんだよということを話しています。また自園では、月に一度、こどもの権利条約のサムリング(集まり)がありますが、そこでは、みんなちがうけど、同じ価値があるというタイトルの工作や活動をしています。

 それぞれが違っていい、ちがっていてもみんな同じ価値があって、ひとり一人が大切な存在だということを日本とスウェーデンの多くのこどもたちに伝えていきたいです」

           〈工作の例〉


           〈子どもの権利の絵本と教材〉




こども権利というのは就学前のこどもにとってはかなり理解するのが難しい内容のように思えますが身近なできごとや工作などを通して教えることで子供たちにも伝わりやすくしているそうです。

最後におっしゃっていた「ちがっていてもみんな同じ価値がある」という価値観はスウェーデンに限らず日本においても大切な価値観であると思いました。

4.最後に


今回のインタビューを通して、こどもの権利を保護し、子どもの視点に立った保育や自然と触れ合うことの大切さなどを知ることができてとても勉強になりました!

日本でもこのような視点を取り入れたら保育制度はもっと充実したものになるのではないかと思いました。

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