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スウェーデンの教育制度の全容を解明!

 あけましておめでとうございます。昨年というか今年もコロナウィルスが猛威を振るう中、スウェーデンへの渡航は現実的に難しくなり、新年早々「昨年何してたんだっけ...?」という虚しさだけが頭に浮かんでいます。今年は色々活動したいです。ほんとに。


 さて、先日(?)の対談の感想でした。(対談といっても、自分は一方的にヨックさんの話に感心していただけですが...)個人的に印象に残っているのは、スウェーデンの教育に対する信頼です。日本では、知識偏重の詰め込み教育が長年批判されてきました。

その批判を受けて、2020年度からセンター試験が廃止され、より"主体的に行動できる"人材を育成するために「大学入学共通テスト」が今年から施工されることになりました。(受験生の人でもしも記事を読んでいる人がいたら、最後まで頑張ってください、応援しています!)

個人的に思うことはありますが、この国に住む人の多くは、自国の教育に問題がある、と考えていると思われます。「日本の教育は素晴らしい!」と手放しに考える人は多くないでしょう。それゆえに、ヨックさんが日本留学時代の経験を交えながら、自国の教育の良さを強調していたのは印象的でした。



 スウェーデンは民主主義教育を重視しており、自分の意見を表明し、そして他者の意見を認めることのできる国民を作り出すことが学校教育のミッションである、というのです。言い換えれば、民主主義社会の一市民として自分の言動に責任が取れる国民を育てるのが学校教育の目標である、ということです。

 このような教育目標は、日本の教育現場にも見られると思いますが、その教育成果が大きく異なるのは、概ね合意が取れることだと思います。


 事実、ヨックさんの話でも、「日本人は政治経済の話をあまりしない、スウェーデン人は日常的に政治や経済について議論をする」と、日本人が積極的に意見を表明したり議論を交わしたりしないことを問題視されていました。このような批判はよく見られるものですが、この傾向が改善されることは当分なさそうです...


 さて、学校教育が国民形成に重要な役割を果たすのであれば、その国民性の違いの一因は教育システムの違いにあるのではないでしょうか。そこでスウェーデン教育の特徴について、少し調べてみました。




ゆとりのある教育体制


スウェーデンは8月中旬からクリスマス休暇までの秋学期と、1月から6月上旬までの春学期の2学期制です。

長期休暇は

・夏休み(6月上旬から8月中旬まで)

・冬休み(3週間)

・秋休み(1週間)

・イースター休み(1週間)

・スポーツ休み(1週間)


と、かなり長めです。日本の学校の多くは登校日数を196-205日にしていますが、スウェーデンでは178日なので、スウェーデンの学校は休みが日本よりも約20日以上多いことになります。また学期の切り替わりである夏休みの間は、宿題がありません。最終日に慌てて日記を仕上げる、というようなこともなさそうです。



 またスウェーデンでは1クラスの平均生徒数が24人で、1クラスに1人以上の教師が教えているため、教師1人あたりの生徒数は12.1人になっています。

そして、今では6年生から成績表をもらうことになっていますが、かつては8年生(日本でいう中学2年生)までは成績表をもらうことはありませんでした。高校入試はなく、倍率が高い場合は義務教育時の成績点で決まります。高校のカリキュラムも多様で、全授業時数の約半数は専門分野の教科を学ぶことになりますが、その専門分野は17のコースから選ぶことになります。


(児童・レクリエーション/建設/電子工学/エネルギー/芸術/輸送機器/ビジネス・経営/手工業/ホテル・レストラン/工業/食品/メディア/自然資源活用/自然科学/保健介護/社会科学/科学技術)




充実した支援

 移民でスウェーデン語ができない子供や、何らかの理由で学習が遅れている生徒に対しては、義務教育の間は無償で補修授業が行われます。また経済的な面においても、スウェーデンの学校は大学まで授業料が無料です。そのため、高校卒業後に就職してから大学に入る人も少なくないようです。日本でもこうしたフレキシブルな流れができたら、いいなと思います。


問題点

 スウェーデンの教育にももちろん問題点があります。1990年代に行われた教育の地方分権化によって、地域間の教育格差が目立つようになりました。教育の質のばらつきによって、OECDが実施したPISA※において、スウェーデンの成績はOECD平均を大きく下回っています。(2012年時点)教育の地方分権化は多様性のある教育を提供しましたが、同時に競争原理の導入による弊害も露呈しました。

※OECD加盟国を中心に実施される15歳の学習到達度を測るテスト



 自国の社会的状況を理解するためには、自国の状況と照らし合わせることができるような、いわば鏡となるような国が必要だと思います。

 福祉大国として、制度上のロールモデルとして度々取り上げられるスウェーデンはまさにうってつけで、今回の対談を通じて、月並みですがスウェーデンについてもっと学んでみたいと思いました。

 コロナウィルスの感染拡大が一刻も早く収束し、スウェーデンへの渡航が可能になることを切に願っています。

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